今回はアレロパシー活性が高いグランドカバーの効果についてご紹介していきたいと思います。
アレロパシー効果は、アセビの植生を調べたときに知りました。
アレロパシーは80数年前に発表された植物の発生阻害効果の概念ですが、人類史では経験的に農業や林業、環境保全の為に利用されてきた有用な現象とのことです。
さほど密生しなくても雑草の抑制に役立ってくれるなど、グランドカバーとしても、園芸種としても家庭で知っておくと有用な概念だと最近気が付きましたので、本記事で詳細をご紹介していきます。
アレロパシーとは?
植物が根や葉等に含む化学物質によって、他の植物の成育を抑制する効果のことです。
以下、アレロパシーの定義を国立研究所の農研機構のサイトより抜粋引用します。
東北大学植物生理学講座の初代教授H・モーリッシュが1937年に概念を発表。
農業環境技術研究所・化学生態ユニット 藤井義晴著
千葉大学の沼田真教授は、アレロパシーを他感作用、作用物質を他感物質と名付けて紹介し、セイタカアワダチソウのアレロパシーに関する研究を行い、特定植物が優占する原因の一部が他感作用であると報告
アレロパシーを農業へグランドカバーとして応用する
果樹・野菜等の栽培時の雑草防除に利用する。これに利用することができる植物としてヘアリーベッチ、コモンベッチ、ムクナ、アルファルファ、クローバ類、ムギ類などが有望と上記に記載されています。
更に、BASFのHPでも、近年ヘアリーベッチの他感物質が「シアナミド」という石灰窒素の成分の1種であり、除草、殺菌、種子休眠覚醒などに効果があることが判明していると記述されています。
その効果は、休耕地や遊休農地といった栽培跡地の雑草をほぼ完全に抑制できるほどだとか。
アレロパシーによって群生している植物
古くからアレロパシーが確認されている植物としては、セイタカアワダチソウがあるそうです。
我が家でも敷地の整地前はセイタカアワダチソウを主とする雑草が群生していました。
鑑賞植物としても人気が高いヒガンバナも、リコリンという化学物質によって雑草を抑制して群落をつくっているそうです。
確かにヒガンバナの景観地は雑草が目立ちません。
他にはススキやブタクサなどなど、意外と多くの植物が持っている作用のようです。
アレロパシー活性が高い雑草
雑草抑制の為の要素として活用できるアレロパシー活性ですが、なんと残念なことに雑草もアレロパシー活性を持っています。
雑草という植物の区分けは、人間が恣意的に決めているだけなので当然ですが。。
東京農工大の藤井義晴教授が「雑草のアレロパシー活性と薬用植物」という文献で、雑草 459 種のアレロパシー活性を評価した結果を掲載しています。関雑研会報 30,1〜5(2019)
その中でなんと先日我が家の庭でも、【雑木の庭】クローバーによく似た花カタバミ、グランドカバーに不適な3つの理由で抜くべき雑草とご紹介したカタバミが、459種中の僅か上位0.9%にはいるアレロパシー活性をもっていることが書かれていました。
つまり、カタバミの繁殖を許すと、どんどんどんどん庭にカタバミの群落が広がっていく可能性が高いということですね。
植物の繁殖はアレロパシー活性の寄与だけで決まりはしないにしても、カタバミの脅威をまた一段と知らしめる記述でした。
アレロパシー活性が高い園芸植物
さっとネット検索して出てくるのは、ひまわり、マリーゴールド、シランなどがあるようです。
確かにひまわり畑に雑草は生えていませんね。
シランも綺麗な花を咲かせて手間もあまりかからないので、庭に群生させても良いのではないでしょうか?
またマリーゴールドは殺虫効果が高いアレロパシー物質とα-ターチニエールを持ち、近くに植えた野菜等を守ってくれるそうです。アブラムシ等の害虫の天敵を寄せ付ける効果もあるとか。
アレロパシー活性が高いグランドカバー
先の東京農工大の藤井義晴教授が2013年のタキイ最前線という雑誌に「被覆植物の農業への利用」と題して、グランドカバーとして用いられる植物のアレロパシー活性の評価結果を掲載しています。
その中では84種による植物の成長阻害率がアレロパシー活性として0~100で評価されています。
一例をあげると、タイムが50に対し、セージが25といった記載があります。
我が家に植栽されていて数値が記載されていたのは、「タマリュウ」「フッキソウ」「キチジョウソウ」「セキショウ」「ヤブコウジ」の5種で、それぞれ数値は93,89,82,77,65と高評価でした。
これら我が家のグランドカバーの植生等詳細は、また別記事にてご紹介していきたいと思いますが、ここでは雑草抑制効果のみ掲載していきます。
我が家のタマリュウの雑草抑制効果
植栽後1年以上経過していますが、大まかには雑草は抑制されています。
先程出てきた厄介なカタバミも、ちょこちょこ顔をだしていますが、タマリュウの中にいる限り、あっさりと抜けます。
少し厄介なのがイネ科のスズメノカタビラ。
発生数は少ないのですが、タマリュウの中に生えていると、根から抜くのがかなり困難です。
しかし、背丈が絶対高くならず、見栄えもよいタマリュウは1,2を争う優秀なグランドカバーだと思います。
我が家のフッキソウの雑草抑制効果
フッキソウも、偶にカタバミ等が生えてくる位で、他の植物の発芽を許さない優秀なグランドカバーです。
よくみるとシマトネリコとモミジも生えていますが。。
なんにせよ、植栽1年以上経過していますが、抜けにくい植物は発生していません。
我が家のキチジョウソウの雑草抑制効果
キチジョウソウもカタバミの侵入を許すくらいで、他の植物の発生は抑制しています。
キチジョウソウの中に生えたカタバミは、簡単に抜けるので安心です。
我が家のセキショウの雑草抑制効果
セキショウもカタバミの侵入を許すくらいで、他の植物の発生は抑制しています。
セキショウの中に生えたカタバミも、簡単に抜けます。
セキショウはグランドカバーというより、点在させて植えられることで、雑草の密生を抑制している効果があるようです。
我が家のヤブコウジの雑草抑制効果
2023年5月、最近の気温上昇でぐっと雑草のアカザが増えてきたエリアになりますが、フッキソウの近くはあ、あまり生えていないように見えます。
ヤブコウジはグランドカバー植物として、特筆するような密生も、繁殖の早さも無いのですが、それでも足元に殆ど雑草の侵入を許していません。
そう思うと、ヤブコウジの雑草抑制効果はアレロパシーによる寄与が大きいような気がします。
高原の中の笹のようなイメージで、木々の足元を覆うグランドカバーとしてヤブコウジは優秀なのではないかと思いました。
苔の雑草抑制効果
我が家のグランドカバーとして、最も広い面積を占めているのは苔になります。
苔も調べてみると、ハイゴケが高いアレロパシー活性を持つようです。
我が家はスナ苔とハイゴケの2種混合にしているのですが、これが功を奏しているのかは比較対象が無いので不明になります。
但し、実績としては、下記写真のように日当たりが良いエリアで、2023年5月時点においてもほぼ雑草の発生を抑制できています。
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