雑木の耐暑性については、雑木の庭カテゴリで各樹種の毎に触れてきましたが、具体的には【雑木の庭】水切れや葉焼けし易い樹種とその対策でもご紹介してきました。
その記事の中でも触れましたが、耐暑性は樹種によって一義的に決まるのではなく、その樹一株一株が、どのように根付き、枝葉の数や背丈を調整し、根と地上部のバランスを調整してきたかによって大きく変わることが分かってきました。
そのような樹木の調整を一言でいえば、環境適応というのでしょうか。
つまり本記事では、樹種毎の庭への環境適応の早さについて、言及していきたいと思います。
耐暑性が向上していない、または不十分な樹種
山桜
山桜は植栽1年目と傾向は変わらず、この猛暑でかなり落葉してしまいました。
写真に写っているのは幹の下方の枝ですが、上方の枝葉は殆ど葉が残っていません。
通年、元気な姿になるには2年目ではまだ早く、もう少し時間が必要なようです。
ムシカリ
ムシカリも結局昨年と同じように、この猛暑で葉焼けが進行し、殆ど落葉してしまいました。
9月に入ってからの新芽が、昨年より多い様な気もするので、少しは環境適応が進んでいるのかもしれません。
ヒメシャラ
ヒメシャラは、昨年よりほんの少しだけ猛暑での落葉がましになっているかもしれません。。が、まだまだ健やかな姿とはとても言えない状態です。
長い間ぎりぎりの状態が継続しているので、水切れに特に注意して観察していきます。
耐暑性が向上した樹種
イロハモミジ
モミジは昨年は猛暑である程度葉焼けが進行していたのですが、今年はまるっきり新緑の様子を保っています。
より上方に枝葉を伸ばすコナラの恩恵もあるかと思いますが、無事にこの庭への環境適応が進んでいるように思えます。
エゴノキ
エゴノキは、環境適応が進みつつある様子を分かり易く枝葉が反映しています。
新緑の時期に発芽した小さめの葉は葉焼けし、落葉もしていますが、それ以後に発芽した大きな葉は綺麗な状態を保っています。
根を十分に成長させ、葉が大きくなると耐暑性は向上するようです。
ドウダンツツジ
ドウダンツツジは、昨年は猛暑後は殆どが葉焼けし、紅葉することなく落葉してしまいました。
しかし今年は、葉焼けは最小限に抑制され、緑色を保っています。
無事に環境適応が進んだようです。
クロモジ
クロモジ属は1年目の様子からすると、葉焼けはし易く、虫喰いも多く、直ぐに落葉してしまう繊細な樹種だと思っていました。
比較的2年目の今年もその傾向はあったのですが、今年は大分改善が見られます。
まだ葉が小さい箇所は葉焼けが見られるものの、
大きな葉に成長した部分は綺麗な状態です。
2年目に入って、急速に環境適応が進みつつあります。
アブラチャン
同じクロモジ属のアブラチャンも、クロモジと同様に昨年より葉が大きく成長し、耐暑性が向上しています。
これなら昨年見られなかった紅葉も、無事に見ることが出来そうです、
シロモジ
やはりクロモジ属であるシロモジも、クロモジやアブラチャンと同じような傾向が見られます。
シロモジはクロモジ属の中でも特に日差しに対して繊細なようで、直射があたる部分は葉焼けしていますが、それ以外は緑色を保っています。
今年は風呂庭でも多種多様な紅葉が楽しめそうです。
環境適応だけでは十分な耐暑性が得られないときは?
もしかしたら、経年による自身の環境適応だけでは、十分な耐暑性が得られない樹種も出てくるかも知れません。
そのような時は、日差しが弱い場所へ植え替えるのも一つの手かもしれません。
しかし、せっかくの多種多様な樹種が混在する雑木の庭なので、他の耐暑性が強い陽樹の助けを得るのがベストなような気がしています。
例えば我が家では、山桜の周囲にコナラやエゴノキの若木が育ちつつあったり、ヒメシャラの近くのコナラが樹冠を広げつつあったりなど。
一つ一つの株の成長も楽しみですが、庭全体として助け合って成長していく姿を見られることが、雑木の庭の楽しみかもしれません。
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