【雑木の庭】懐かしい雑木の景色を創る為の、1年で苔生す仕掛けの紹介

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今回は植栽以外で、JINENさんによって仕込まれた、懐かしい景色を創る仕掛けをご紹介します。

この仕掛けによって、植栽からたった1年で緑化部分とそれ以外の境界があいまいになり、より庭が昔からあったかのような景色に変化していきました。

本記事がお勧めな人

・自然に風化した懐かしい景色を庭に創りたい
・石や枯れ木まで浸食された苔生す庭を創りたい
・生した苔によって立体的な苔の造形を愉しみたい
・苔による風化と再生の景色を愉しみたい

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空孔率が高い景石が1年でモスストーンに風化

JINENさんは、多くの景石を空孔率が高いものを選んで持ってきてくれました。
この高い空孔率によって、石は高い含水率を保持して、苔の胞子が定着し易くなります。

和室庭の景石はハイゴケを誘導

植栽時に植え付けられた苔シートは全エリア、スナゴケとハイゴケの2種混合です。
和室部は日照時間が少ないのもあって、ハイゴケが支配的になっています。

このエリアを【雑木の庭】和室部紹介-ユニット植栽法の勧め!シンボルツリー1本植えは危険!?によって夏に紹介したときは、下の写真のように石の中腹まで苔がのぼっていました。

作庭直後の写真と比較すると、苔生す様子がよく分かります。

作庭直後の苔生す前の景石
2022年の夏、石に苔がのぼってきた様子

それが2023年1月現在では、頂上までハイゴケがのぼりきっています。
次の年末には石肌は隠れて、苔の立体造形物になっていそうです。

2023年の1月、石に苔がのぼりきった様子

アプローチ庭は石に吸着していた苔種が増殖

アプローチ庭は、以前【雑木の庭】アプローチ土間部コナラ、ヒメシャラ等の高木や足元のミニチュア世界の魅力についての記事で紹介しています。

2023年1月のアプローチ部の庭

2023年1月現在完全に苔で覆われ、どこが石だったか写真では分からなくなっています。

石だった部分を拡大したのが下の写真になります。
ハイゴケでもスナゴケでも無い苔に覆われています。

多分、元々石に吸着していた苔が増殖したのではないかと思っています。

2023年1月のアプローチ部の庭

こちらの写真もアプローチ庭で、土間前部になります。

2023年1月のアプローチ部の庭の土間前部

下の写真の玉竜の下が石だった部分です。
苔玉のようにまあるい緑になっています。

中々まき苔や苔シートで、このように綺麗に苔を丸く定着させるのは難しいと思うので、景石を風化させて苔の立体造形物をつくるアイデアは、秀逸なものだと思います。

2023年1月のアプローチ部の庭の土間前部

こちらはハイゴケに浸食されつつある石。
次の年末までには見えなくなりそうです。

2023年1月のアプローチ部の庭の土間前部

リビング前西部の岩はハイゴケを誘導

リビング前西部の庭は、【雑木の庭】内からも外からも美しく、足元は実生のモミジの群生地となったリビング部西の紹介で以前ご紹介しています。

ここは石というより大きいので岩と表現しています。

2023年1月のリビング前西部の庭

この岩にはハイゴケがのぼりはじめています。
このサイズが苔生したら、さぞ昔懐かしい情景を醸し出してくれるだろうと期待しています。

意外と年末あたりにはびっしり生えているような気もします。

2023年1月のリビング前西部の庭

リビング前東部は石に吸着していた苔種が増殖

リビング前東部の庭は【雑木の庭】エゴノキのひこばえ、落葉樹と常緑樹のコントラストが美しいリビング部東の紹介で以前ご紹介しています。

こちらは周りに苔をあまり植えていなかったこともあるのか、スナゴケでもハイコケでもない種が増殖しています。

周りに苔が無くても、石自らの培地を元にここまで増えていることに驚きました。
来年にはこの石を発生源に周りに苔を増やしていそうな気もします。

2023年1月のリビング前東部の庭

東部も石に吸着していた苔種が増殖

東部の庭は【雑木の庭】寒緋桜の開花からヤマコウバシの冬枯れまで、季節の移ろいを年中感じる東部の紹介で以前ご紹介しています。

こちらはDIYでまき苔を実施する前は緑の面積が少なかったエリアなので、景石の自然緑化は大変ありがたい現象でした。

この石もやはりハイ苔でも砂苔でもない苔が増殖しています。

2023年1月東部の庭

涸沢付近の苔石

我が家の庭では【雑木の庭】雨が好きになる、涸沢が満たされ流れのある庭に変わった景色で紹介したように、雨が降ったときのみせせらぎにかわる涸沢が設えられています。

涸沢

この涸沢は湿度がこもりやすいのか、苔が旺盛な成長を見せています。
次の年末には苔玉のような丸い造作物としてオブジェになっていそうです。

涸沢

枯れ木への苔の浸食

苔が生しやすい自然物としては、枯れ木もあてはまるようです。
これも景石と同じようにJINENさんが植栽時に仕込んでくれていたアイテムの一つになります。

周りの苔の密度が高い場所では、たった一年で苔で埋まってしまった枯れ木もあります。

苔で埋まってしまった枯れ木

苔の密度が少ない所でも枯れ木への苔の浸食は始まっています。

苔の浸食がはじまった枯れ木
苔の浸食がはじまった枯れ木

下の写真のように、苔で浸食された周りでは、雑草も落ち葉も何故か美しく見えてくるのが不思議です。

苔の浸食が、既に朽ちてしまった枯れ木や落ち葉の景色を新しい緑の再生へと導いているせいでしょうか?

苔は風化と再生の役割を担う植物?

今回の記事を振り返ると、枯れ木はともかく、苔は「石や岩」といった無機物を平気で培地として勢力を広げていっています。
(厳密には石や岩の表面は無機有機ハイブリットかもしれませんが)

つまり無機物を自然に風化させ、新しい緑化した土地へと再生させている気もします。
他の植物でも似たようなことはできるのかもしれませんが、苔はたった1年で本記事のような劇的な変化をもたらすことが凄いと思いました。

苔の増殖を通じて、我が家の新しい植生を育んでいってくれる気もし、苔の成育は庭づくりにとって面白い要素なのではないかと思い始めました。

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