今回は、「アブラチャン、アセビ、コバノズイナ、コマユミ、サワフタギ」「コナラ、ムクノキ、ヒメシャリンバイ、オトコヨウゾメ」に続き、春から初夏にかけてのアオキ、アズキナシ、エゴノキ、シラカシ、シロモジの成長速度の実観測結果をご紹介していきたいと思います。
また本記事の最後に、個々の成長速度を見ていく中で、成長が早い樹のメリット、遅い樹のメリットに考え、庭木として迎えやすい樹の特徴について考えてみました。
アオキ
常緑低木樹のアオキ。
4月初旬に開花後、その脇から新しい枝が伸びてきます。
それから2か月でどこまで伸びたかというと、下の写真の黄色く枯れた葉から上の部分になります。
アオキは、新芽から枝と葉の展開が完了すると、過剰になった既存の葉を顕著に枯らして調整するのが、見ていて面白いです。
既に現在、頂点に新しい目が芽吹いており、また2か月後には同じ程度伸びていることと思います。
この枝の十数cmの伸長が年に何度も行われるので、成長は割と早めです。
そのなかでもひこばえは成長が早く、1年で80cm程度も伸びています。
アズキナシ
落葉高木樹のアズキナシ。
春にかなり華やかに咲き誇った後から現在は、実りの時期を迎えています。
以外にも成長は遅いようで、新芽の成長は下の写真のシルバーグレイから茶色に枝が変色している部分。
長さは10cm程度。
なので、年間では30~40cm程度の成長になるかとおもいます。
最大樹高が20mにもなる割に、成長速度が遅い気がします。
エゴノキ
落葉高木樹のエゴノキ。
初夏の主役と言える程咲き乱れました。
アズキナシと同じように現在は、緑の実りを迎えています。
下の写真は昨年発生したエゴノキの幼木。
幼木時代は成長が早いのか、下の写真で茶色になっている茎の部分、45㎝程度も伸びています。
1年では1m以上伸びそうです。
シラカシ
常緑高木樹のシラカシ。
この春から初夏に伸びた部分は、下の写真の葉が赤くなっている幹の部分。
40㎝程度でしょうか。
このままいくと、1年で1m程度は伸びそうです。
シロモジ
落葉低木樹のシロモジ。
早春に綺麗な枝ぶりと共に開花しました。
開花後に、少しだけ枝を伸ばし、枝先に葉を展開させています。
下は開花から3か月後の写真。
緑の枝色部分が新芽が伸びた部分になります。
長さは5cm程度。
既に樹高が4m超の株だからか、非常に遅い成長速度です。
多分1年で30㎝も伸び無さそうです。
成長速度から考える庭木に迎えやすい樹の特徴
成長速度の観点から庭木に迎えやすい樹は何か?を考えてみたとき、成長が早い方が良いのか?遅い方が良いのか?はよく問題になるところかと思います。
剪定することを前提とすると、
・成長が遅い方が、剪定頻度が少なく済み管理がし易い。
一方で、欲しい景観にまで育てる年月を考えると
・成長が早い方が、一度弱ってしまっても、再び欲しい樹形に育ってくれるまでのリカバリーが早い。
と一長一短のような気がします。
そう思うと、成長は早いけど、最大樹高が高くない中低木は、管理の手間も、景観の維持も理想的のように思えます。
今回の中ではアオキやエゴノキが当てはまります。
但し、そんなアオキやエゴノキも、単独で植えられると、強い日差しにやられて、弱ってしまいます。
そうやって、庭木としての迎えやすさを考えていくと、JINENさんが提唱する樹一本一本として植えるのではなく、高木から中低木、下草が助け合うようなユニット植栽、「雑木の庭」へと1周回ってくるのかなとふと思いました。
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